手の中の蝶々
「本当に近いんですね…」
公園から歩くこと数分。
先生が足を止めたから見上げると…
まぁ普通のアパート。
ちょっと綺麗めな、2階だての。
『はい、どうぞ』
鍵を開けて中に入っていく先生。
うわ、先生の匂いが一面に……
って何匂い嗅いじゃってんの!
『桜木さんっ、温かい紅茶飲めます?』
「あ、うん。ありがとうございます」
敬語で喋ったほうがいいのかな…
ま、なんでもいいや。
『後は…タオルと…着替――』
着替え、と言おうとして、私の方をじっとみる先生。
『…僕のスウェットでいいですか?服、乾燥機かけるまで。
後、取り敢えずコートはハンガーかけて下さい』
先生はてきぱきしていて。
流石1人暮らしだな、と思った。
私はというと、先生のスウェットに着替え、先生が貸してくれたタオルで頭を拭きながら、先生のいれてくれた紅茶を飲んでいる。
まさに至れり尽くせりだ。
「…何か手伝うことある?」
『大丈夫、座ってて』
なんか、今の、お互いタメ語だったし……
なんか仲良しみたい。