手の中の蝶々
「ここまでは…知ってますよね?」
私がこうゆう状況で生活していたことは、担任の先生なんだから知ってるはず。
『はい、知ってます』
なんか先生の声って落ち着くかも。
実はそれは授業の時から思っていて。
国語の先生だから、音読の時とか本当心地よい。
…でもさっきの低温ボイスは……
聞いたことなかった。
『でも…家がないって言うのは……』
「あ、それでね、今日……」
『ゆっくりでいいですよ』
眼鏡の奥の鋭い瞳は、今はなくて、優しい瞳。
「うん…」