手の中の蝶々
目を合わせてられなくて首を反らそうとすると、頬に手を添えられ、無理矢理固定される。
『見てられない?』
「……っ!」
挑戦的で攻撃的な先生の口調に、私は何も反論出来ない。
『ここからはちゃんと目を見て聞かないと……』
私を見る目は色っぽく、
『僕が楽しくないでしょう?』
ニヤリと笑う。
「……死ねっ…!」
いつもなら『わぁ酷い!蝶々さんに死ねって言われた!』なんて白々しく悲しんで見せるのに、今は只笑みを浮かべるだけで……。
『夂葉さんが、"教えて"って言ったんだからね?』
「じゃあ早く言ってよ…!」
嫌な予感なんてもうこの際どうだっていい。
予感は予感だ。
とにかくこの状況から解放されることが最優先だ。
『しょうがないなぁ』
先生はまたもや楽しそうに笑い、
『あのね…、
夂葉さんは僕が好きで、嫌いなのは"波内さんと仲良くしてる僕"なんだよ。
だから嫌いってのも間違いじゃないかなぁって』
私の体を熱くした。