手の中の蝶々
夂葉さんは僕が好きで………?
「んなわけ……っ!!」
『あるんだよコレが。
嫌いだなんて意地はって泣いてたのが何よりの証拠』
眼鏡の向こうの瞳は、鋭く私を捕えて。
『"嫌い"って…夂葉さんになら言われても嬉しいな』
「き、きもい……M発言しないでよ……!」
何が、嬉しいな、だ。
だなんて、先生を罵倒する余裕があったのはここまで。
『心外だなぁ……』
うーん、と悩んで見せた先生は、次の瞬間、瞳をぎらつかせ、クイッと口角を上げて、
『言ってなかった?僕、ドSなんだ』
心底楽しそうに、笑った。