明日も、キミに恋をする。
競技を終えて大輔くん達が応援席に戻ってくる。



「いえーーい!大輔また一位やんけ!」

「このまま頼むで!優勝いけるってまじで!」



大輔くんはたくさんの男の子達にあたまをもみくちゃにされて、笑ってる。



「大輔すごーい!!アンタやるやん!」

「めっちゃかっこいいー!惚れ直したで(笑)」



なんて、興奮した女の子達も男子に混じって大輔くんをバシバシ叩いたりハイタッチしたりしてる。



良いなぁ…

にぎやかなその輪に加わることができず、私はその様子を少し離れたところから、微笑んで見るしかできない。


こんな時にまでさみしいなんて、心の狭い自分になりたくない。

みんな大輔くんの活躍を心から喜んでるんだ。





――ポン




そのとき、ふいに後ろから肩に手を置かれる。



「内田さん次、競技じゃね?」




ふりむくと、犬山くんがいる。


犬山くんに言われてあわててプログラム表を見ると、本当に次の競技に出ることになっていた。





「…あっ!大輔くんに見とれてうっかりしてた!」

「はははっ何やねんそれっ(笑)」

「教えてくれて、ありがとう!」




私は慌て集合場所の入場門へ走る。


入場門のところでは、陽子ちゃんと愛ちゃんがすでにいて、私を探してくれていたらしく、私を見るとホッとした表情になる。




「優ちゃん、どこにいたん!一緒に来たと思ってたのにおらんからびっくりしたで」


「ごめんごめん!応援席でついぼんやりしてて…」


「あははっ優ちゃんらしいけど。間に合って良かったなぁ!」




陽子ちゃんと愛ちゃんは笑う。




「私も犬山くんに教えてもらって…まさか忘れてたなんてびっくりしたよ」



私も笑うと、陽子ちゃんがすこし訝しげな顔をする。



「また犬山が?」

「え?うん」



その時、入場のホイッスルがなる。
  


私たちは一斉に駆け足で入場門をくぐりぬけ、スタート位置に並ぶ。


これから始まる100m走のドキドキに、私は陽子ちゃんの最後の訝しげな表情も言葉も、そのまま忘れてしまった。










< 269 / 436 >

この作品をシェア

pagetop