嘘から始まる恋



「大丈夫?」


帰り道、山中くんに家まで送ってもらっているのだが、さっきからずっと無言である。



「ごめん…、大丈夫だよ」


小さく微笑むと山中くんは足を止めて、私を真っ直ぐ見てきた。



「ねぇ、工藤さんは俺のことどう思ってる?俺は友達以上になりたいし、俺が工藤さんを笑顔にさせたいと思ってるんだけど」


突然、真剣な眼差しになる山中くんに言葉に詰まる。



山中くんはいい人だけど、やっぱりそれ以上には考えられない。



「工藤さん言わないけど、好きな人いるでしょ?」


図星を突かれ俯いてしまう。



「……ごめんなさい」


「そっか…。好きな人いるんだ」


冗談で言ってみただけなのにな…と苦笑した。



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