贈る言葉
冷えきった体育館の中立ち並ぶパイプ椅子。中央には偉そうに赤い布が顔を広げていた。
「なぜ俺がこんなつまらんイベントに出なくてはならんのだ……」
溜め息混じりに少年は、寝ぼけ眼をこすり毒づく。それを聞き、少女は溜め息をついた。
「今日があんたを含めた三年生の卒業式だからでしょ。少しは自覚を持ってよ」
「っち。誰が出るか、アバズべんっ!」
「口には気をつけな。あたしの手が盛大に滑るよ」
「……うぃ。すんませんした」
「解ればよろしい」