贈る言葉
体育館へ入り、いよいよ送られる卒業生。
美しいハーモニーで始まる国歌斉唱。素晴らしい統率力で進行した卒業証書授与、もちろん校長も素晴らしい進行振りを発揮した。
皆勤賞を表彰された生徒の一言は、健康で過ごす為のアドバイス。明日から実行しようと、その場にいた者全員が決意するほどのものだった。
ありがたい校長からの式辞や、来賓の方々の激昂や祝辞は心に沁み、読み上げる者どもは一様に暖かい拍手で包まれた。
祝電披露で懐かしい教師の言葉に辺りは沸き上がり、頬を赤らめた凛が壇上へ上がり言葉を述べ、記念品を授与。
そして、見知らぬ男子生徒が、爽やかな表情で在校生の送辞を読み上げる。
拍手喝采。沸く会場。それも余所に涼しい顔で壇上を飛び降りる男子生徒。
「実にくだらんな。来賓はともかく、校長すら台詞噛むし、進行たどたどしいし、何年校長やってんだよ。少しは凛も緊張してはどうだ」
「なんであたしがこんなことでいちいち感情を揺らされなきゃならないのよ」
「お前、言ってること違くね?」
「そう? あたしは規律を乱したくないだけ」
「そうかよ」
「ほら、愚痴ってないで行ってきなさい。元風紀委員長の柊くん」
「なぜこの俺が……」