贈る言葉
「昨日までまともなコメントをしようかと思ったのだがね、馬鹿らしくて辞めた」
「嘘吐き……」
「ウソつけ」
「嘘やな」
「嘘だ」
「ウソですね」
遥、凛、榊原、賢史、茜からのツッコミを浴びた。
「まともに歌えぬ国歌。まとまらない一同。校長ですらまともに動けていない始末。これほど素晴らしい卒業式は他にはないだろう」
演説を止める声。ざわめく会場。それでも彼は止まらない。
「俺を批判する前に、あんたらの教育方針と日頃の態度を改めてはどうかね。それくらいも考えられんのか、無脳め。
俺が語る内容は事実だ。俺の発言に少しでも共感できる者は立ち上がれ! くだらぬ権限に抑えられるな!
本日をもって俺は、このくだらん学生生活を終える。しかし! 自由を名乗りバカが許されるのも今日で最後なのだ。この俺に共感できた友よ。圧力を恐れず主張せよ!」
額に手を当て飽きれる者。顔を赤くし静止の意志を叫ぶ者。立ち上がり様々な表情で笑う者。事態が読み込めず唖然とする者。それすら興味なさそうに眠る者。
様々な感情を生みだす会場。とどまる所を知らず、教師も手がつけられぬ事態。この騒ぎの元凶は静かにマイクを戻し、冷静な表情で口を開いた。