天国の音色
私は混乱する頭で、まごつきながら病院から家へ帰った。
玄関を開けると、ママが心配顔で駆けよってきた。
私の表情を見て、一瞬顔が強張る。
「奈々...膝、どうだって?」
「....ママ....私の膝、もうダメだって、もう......走れないって....」
ポロリ、一雫の涙が頬を伝う。
ママは、そう...とだけ言って、私を抱きしめた。
私はママの腕の中で、小さい子供みたいに声をあげて泣いた。