恋に惑う吸血鬼



校舎の中は夕日が射して、とても綺麗だった。



『綺麗だけど少し不気味かも』



きっと恋人なんかと居ればロマンチックで素敵なんだろうなぁ。


やっぱり、2人に来てもらいたかったな…。


とっととペンケース見つけて帰ろう。





………。





着いた。


けど…教室に誰かいる??



少しだけ覗いてみると1人は明らかに見覚えのある人物だった。


小さい声でその名を口にする。



『仁王君…?』



…やっぱりクラスメイトの仁王君だ。


もう1人は…誰だっけ??




んー…あ、確か松本さん??




それにしても良かった。私の存在には気づいていないみたい。




そういえば、あの2人って付き合ってるんだっけ?校内の美男女カップルで有名だった気がする。



…だけど、2人の空気はとても重々しかった。



上手くいってないのかな…?



これじゃあ、とてもじゃないけど入れないよ…。



「雅治ッ!!なんで別れるの!?意味分かんない!!」



多分、状況からして仁王君が松本さんに別れ話を持ち出したみたいだ。





「俺の事が好きなら、もう近寄らんで貰えんか。



…正直、ウザいんじゃ。」





わぉ。



さすがに今のは松本さん傷ついただろうなぁ。



やっぱり。


松本さん、目が潤んでる…。



「なんで…何が駄目なのよッ!!」



仁王君は少し困った顔をしてから、パッと何かに閃いた様な顔をした。


そして…


こちらを見てニヤリと笑った。



……とてつもなく、嫌な予感がする。
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