恋に惑う吸血鬼


「ハハ、だいぶ動揺してるようじゃな。考えとること全部口から駄々漏れじゃよ?」



はっ!と思い口を抑える。


もう、遅いけれど…。



…そうだ、1つ仁王君にいいたい事があった。



『…仁王君、さっきの言い方…松本さん傷ついたと思う。』

「?」

『[俺のことが好きなら、もう近寄らんで貰えんか。正直、ウザいんじゃ]ってやつ…。』

「…ああ、アレ?」

『もしも、私が好きな人にあんなこと言われたら凄く辛いと思う』




沈黙が続いた。


それを破ったのは意外にも仁王君だった。


仁王君は近くの机に座わりこちらを見た。



「お前さんも座ったらどうじゃ」

『うん、じゃあ…』



仁王君に促され、私も近くの椅子に座ることにした。



また、沈黙が続いたけど今度は私が破った。



『松本さんって凄く可愛いし、頭も良いらしいね。噂で聞いたけど、向こうから告白してきたんだってね…。』



途端に仁王君の表情が真剣なものになった。




「俺は飽きたから、捨てただけじゃよ」




仁王君の冷たい言葉とその表情に背筋が凍りついた。



『なんで、そんなこと…』

「ただの暇つぶし。お前さんだってやるじゃろ、ゲーム」



この人は、ゲーム感覚で今まで沢山の女子と付き合ってきたんだ。
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