恋に惑う吸血鬼



『そんな性格してたら、いつか本当に好きな子が出来ても上手くいかないよ??』



「俺のあだ名知ってて言っとる??」



彼は不適な笑顔を浮かべた。


うーん、何だろう。


あんまりこの人に興味無かったから解からないや。



『あだ名って?』



「コート上のペテン師じゃよ」



思わず、噴出してしまった。



『あははっ!!ここコートじゃないし。それってテニス部でのあだ名だよね』



今度は仁王君に爆笑されてしまった。



『な、なんで笑うの…?』

「いや、大抵の女子ならここで『カッコイー!!』とか言うんになーと思って。何か、お前さん気に入った、ククッ」

『も~、意味わかんないっ!!



…なんか、仁王君に興味持ったかも!!



あ、もちろん友達としてだけど』



「…ふぅ。さて、そろそろ帰るか。お前さんさえ良ければ送るよ」

『え?いや、でも悪いし』

「家も確か近かったじゃろ、遠慮しなさんな」



あ、さっきと違って凄く優しい顔だ…。


…素に近い表情なのかな。



『…じゃあ、お言葉に甘えさせて貰おうかな。』




まさか、仁王君と帰ることになるなんてね。
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