恋に惑う吸血鬼
ひょんなことから仁王君と一緒に帰る事になったのだけれど…。
何か、大切な事を忘れている気がする。
「そう言えば、何で教室に来たんじゃ?
…覗き??」
『そんなわけない…って、あ。
…最初に戻っちゃった。』
仁王君に、教室に行った経緯を話すと一緒に学校に戻ってくれると言ってくれた。
『え、でも本当に悪いし…』
「そうやって、さっきも1人で学校行ってまた同じ事の繰り返しなんじゃ…」
『そんなわけ…ないよ、多分』
なんか、自信無くなってきた。
「一緒に行けば確実じゃろ?」
ああ、仁王君がモテるのも少し分かるかも。
―――……
『仁王君、本当にありがとう。良ければ、何かお礼させてくれないかな』
「んー」
『何でもいいの』
「じゃあ、考えとくナリ」
『うん、分かった』
ごめん、《ナリ》の意味が理解できそうに無い。
『それにしても、よく隠れてるのが私って解かったね!!』
「ん、まぁな」
あ、まただ。
仁王君って時々こうやってニヤリと笑うよね。
『うーん』
仁王君って色白だなぁ。
羨ましい…。
「どうした?」
その時、不意に仁王君と目が合った。
正直、あまり人と目が合うのは好きじゃない。
感情が読まれそうで、嫌。
ま、なんとなくだけどねー。
『いや、仁王君って凄く色白なんだなぁと思って。』
「あぁ、あんまり日に当たるのは好きじゃないんでな」
『そっか。……あ、私家ここだから。送ってくれてありがとう。あと、ペンケースも…。』
「お安い御用じゃよ」
そのあと、私達は何となく携帯の連絡先を交換して別れた。