美女と珍獣
「うん。じゃ、アサカは、そう呼んで」
「はいっ!」
あたしが笑顔で返事をすると、よしよしと頭を撫でてくる珍獣さん。
「な、なんですか?」
突然のことに、あたしがちょっと顔を赤くしながら聞くと、ふっと小さく笑う息づかい。
「アサカ、かわいー。
……俺の、ペット、みたい」
「ぺ、ペット!?」
目を丸くするあたしにかまわず、尚もくしゃくしゃと髪をかき乱してくる珍獣さん。
表情は伺えないけど、何となく嬉しそう。
な、なんだかとても変わった人だな。
あたしは改めてそう思った。
着ぐるみだし。
着ぐるみに名前付けてるっぽいし。
なんかカタコトだし。
よくわかんないけど大豪邸にお住まいだし。
お水系(仮)の知り合いもいるし。
何はともあれ、美奈が日本に帰ってくるまで。
あたしと珍獣さんの、奇妙な共同生活が幕を開けた。