美女と珍獣
「アサカー」
ドアの向こうから、珍獣さんの声がする。
「はーい」
そう言いながらドアを開けると、携帯を手にした珍獣さん。
「どうしたんですか?」
「れんらく、さき。教えて」
「あっ、はい!」
赤外線で連絡先を送り合っていると、ぐぅ~という音。
「アサカー……」
「お腹空いたんですか?」
素直に頷く珍獣さんに、笑みがこぼれた。
可愛いよね。
あたしが見上げるくらい背の高い男の人に、可愛いなんて表現似合わないかも知れないけど、この人は例外だと思った。
あたしが一階に下りて昼食を作っていると、なぜかキッチンの傍らでそれを凝視してくる珍獣さん。
「な、何でしょうか」
「んー……」
腰をかがめながら、あたしの作る様をじーっと見ている。
「楽しいですか?」
「んー……」
それしか言うことはないのか!
「俺、かじ、できない」
「家事?」
そう尋ねるとうんうんと頷く彼。