美女と珍獣
「はい、できました」
「!」
今度は子犬のように、嬉しそうに席につく珍獣さん。
見てて飽きないなあ、と笑った。
どちらかというと、あたしが彼の飼い主の心境。
…彼はあたしをペットだと言うけど。
「いただき、ます」
「はい」
やっぱり何度見ても珍獣さんの食事の光景は滑稽だけど、あたしは微笑ましい気持ちで見ていられるくらいになった。
「アサカ、何で、笑ってる?」
「可愛いな、と思ってたんです」
「むぅ……」
そう告げると、何やら食事の手を止める彼。
何かな、としばらく見つめていると、すっとあたしの方に伸ばされた手。
あ、まただ。
「アサカ、の方が、かわいい」
そう言うと珍獣さんはくしゃくしゃとあたしの髪をかき乱した。
寝起きのままだったあたしの髪が、さらに無造作ヘアーに変わった。
「あたしは可愛くないです」
「かわいい、の」
「………」
首を横に振る珍獣さんに、また笑みを零した。
――あの部屋のこととか、
彼の謎なんか今は忘れて。
ああ、この人面白い。
ただそう思った。