美女と珍獣
「どーしよ……」
どんどん暗くなっていく空に比例し、あたしの不安は募っていった。
いつもなら家出する度、女子高生の一人暮らしという何とも都合の良い美奈にお世話になっていた訳なのですが。
彼氏と旅行……。
ハワイ……。
美奈の言っていた言葉がエコーのように脳内に広がっていく。
こんな冬の寒空の下。
行く宛もなく彷徨って、さしずめあたしは……。
「ホームレス……?」
いやだ!
華の女子高生にあるまじきこの状態に、あたしは頭を抱えた。
とりあえず。
こんな寂れた公園にいるよりは、街に出てネットカフェにでも行こう。
前にテレビで見た24時間営業のネットカフェで夜を過ごす人達の特集を思い出し、あたしは街の方向へと足を進めた。
ネオン輝く都会の街。
高層ビルがいくつもそびえ立ち、せわしなく行き交う人の数は数知れず。
もう日は暮れて空は真っ暗だけど、周りの建物の灯りで十分すぎるくらい明るいし。
さっきの薄暗い公園なんかよりずっとマシ。
街の方に来て良かったな……。
なんて少しでも思ったことを、あたしはすぐに後悔することになる。