美女と珍獣
「ふぅー……」
で、今現在あたしのいるところはお風呂です。
食後、よく考えたらお風呂に入ってなかったという驚愕の事実に気付き、慌てて浴室へ。
珍獣さんのインパクトが強くて、それどころじゃなかったんだもん。
まあそれにしても乙女にあるまじきことだけども。
ていうかお風呂、広いなー…。
うちのお風呂の二倍くらいある。
これが三つも家にあるなんて、珍獣さんって一体…―
「アサカー」
「!?」
突然きこえた珍獣さんの声に、慌てて体にタオルを巻いた。
「なななななんですか!」
かなりしどろもどろになりながら返事をすると、脱衣所の方からまた珍獣さんの声。
浴室との間に、曇りガラスがあるから、お互いの姿がはっきり見えないことに安心しつつ、用件を聞く。
「コレ、ろうかに、落ちてた。良いの?」
そう言う珍獣さんの手には、何か布のような物。
何だろう……。
湯気とガラスでよく見えない。
あたしは目をこらしてよーく見てみた。
そして
「あぁっ!!!」
突然のあたしの大声に、びくっとする珍獣さん。
でも、あたしが取り乱すのも無理はない。
だって、珍獣さんの手にしてるものは、
パ…――
「ど、どうする、の?」
泣きそうな気分のあたしをよそに、そう尋ねてくる珍獣さん。
「そ、そこに置いてて下さい……」
あたしは真っ赤になりながら、消え入りそうな声でそう言った。