美女と珍獣
「あの、ミユキさん!
変な質問なんですけど……
どうしてこんなに良くしてくれるんですか?」
そう尋ねると、ミユキさんは一瞬驚いた顔をしてまたすぐ微笑んだ。
「そうね、どうして……って訳じゃないのよ。
強いて言うなら。
麻伽ちゃんならもしかして、と思ってね」
「……?」
「こんなこと言っても混乱しちゃうわね。
曖昧で申し訳ないけど、私の勝手な期待よ。気にしないで。
それに私は、純粋に麻伽ちゃんのことも気に入ってるし」
「…えっと、ありがとうございます」
「ふふ、じゃあまたね」
そう言うと、ミユキさんは踵を返して去っていった。
"麻伽ちゃんならもしかして…"
どういう意味だろ?
気にしなくて良いって言ってたし、深く考えなくて良いのかな。
「アサカ、何のはなし、してたの?」
ひょこっと玄関に顔を出した珍獣さん。
ぐらぐらと着ぐるみが揺れてる。
「えっと、秘密です!」
特に理由はないけど、あたしはそう答えた。
珍獣さんはあたしを見て、悩ましげに首を捻っていた。