シオン
甘い8番、嫌いだと思った





部屋は10畳程、サーフィンのポスターやクラブのチラシ、ボブマーリーのポスター、色々な物が貼られている



そもそも今日ここに来たきっかけは共通の友達の圭の1本の電話からだった。少し前、ある理由でシンジくんがあたしの携帯番号を聞きたいと。そこから頻繁に連絡を取り出し、今日ここにいる。


座ってまたしばらくたわいもない話しをした。その間シンジくんは、ふんふん、と相づちを打つ


シンジくんは、あたしが麻薬常用者だと思っていたらしく、(どうせ圭からの情報だろう)上物を用意してくれていた


思い出したかのように急に立ち上がる、そしてテーブルの引き出しから色々と取り出し、また隣に座る









「これ、上物やから」

そう言ってシンジくんは透明の袋から緑の草の塊を出して、あたしの鼻元に差し出した

大麻

今思うとその上物は40~50グラムはあったんじゃないかとは思う


「すげぇ柑橘系の匂いするやろ、これ効くよ」


柑橘系?
差し出されたビニールに鼻を付けると思わず顔が離れる。初心者のあたしには柑橘系の匂いには思えずオエッとなる。ただでさえお香の匂いで頭がクラクラするっていうのに


シンジくんは丸くて黒い物体と、大麻を巻く紙を出して慣れた手つきでクラッシャーという4センチほどのその黒い器械に緑の塊を入れ、ガシャガシャと右に左に回し出した


あたしはそれを勉強する生徒のように見た。

そして1分も経つと、クラッシャーからほぐれた草が出てきた。シンジくんはそれを器用に紙に巻いていく。

緊張の為か、あたしがその行為をじっと見ていたからか、これからやれる、という思いからかシンジくんの手は小さく震えていた


巻き終わると火を付けスパスパと3口ほど煙たい顔をしながら吸ったりはいたりを繰り返し、手際よくお香に火を付け、ジョイントをあたしに渡した

高校生の時、大麻を吸った時の要領で肺に入れ、溜めて吐き出すのを思い出す。
< 2 / 7 >

この作品をシェア

pagetop