キスして☆イケメンな彼
「そうか。ならよかった」
龍之介さまは胸を撫で下ろした。
そして私は手を引かれた。
「行くか」
「えっ?!」
私は理由も知らない龍之介さまを前に声をあげた。
行きたくなくて逃げてきたとは言えずにいたから。
「ん?」
やっぱり知らない龍之介さまは首を傾げる。
「合コンエリアは松山のカラオケ店だよな」
「えっと、はい」
焦って私はその質問に『はい』と答えてしまった。
「よし、じゃあ決まりだな」
「え?」
私は理解できなくて龍之介さまを見上げる。
行きたくないのを意思表示したけど伝わらない。
私は行動で表そうとして、龍之介さまの服の裾を摘んだ。
龍之介さまは一度止まって、私の方に振り返る。
「…もしかして歩けないか?」
ち、違う!!
龍之介さまも案外(?)鈍感なのかもしれない。
「いえ、そうじゃなくて…」
私は龍之介さまも同級生というのも忘れ、敬語。
龍之介“さま”と呼んでいるところから、もう私とは分類が違う仲なのだけれど。
「さっき押されたときに足でも捻った?!」
確かに痛かったけど、そうじゃない!
そんな言葉は届くはずもなく……。
「っわぁ?!」
龍之介さまは私を軽々と持ち上げ、肩に乗せた。
「これで平気だな」
え?!
ちょっと待って~!!
私は平気じゃなぁーい!!