キスして☆イケメンな彼
そしてまた歌が流れ始め、決して上手いとはいえない龍之介さまの歌が始まった。
今、聞こえるのはドラムとボーカル。
キーボードってありなの?
ギターが斬新な入り方をして…。
歌の口調も色んな場面ごとで音色を変えてくる。
確かに『他とは違う』。
音楽はあんまり授業に入らない。
授業で頑張るといってもそんなに成績に困らない。
でも知らないことは多い。
それは知らなくていいことだから。
そう思ってた。
さっきまでは。
でも、君の隣にいるには必要になるべき知識。
成績表に入らなくとも
必要なこと。
今までそんなのなかった。
有名高校に合格できなかった私は、1年の頃からこの学校に入学したことを引きずっていた。
親もそんな私に呆れたのか、扱いがまるで変わった。
だからせめて、成績だけは落とせなかった。
CDを聞いている時間もなければ、もちろんTVも見ない。
今、何が流行で一番流行っていることは何か。
知らない。
前に由香里と遊んでいた友達がレンズなしのメガネをしていた。
つけまつ毛にあたらなくて便利だからとか、そんな初歩的なことを述べていた。
何種類も持っているからといって見せてくれた。
黒縁が多くてたまに茶色とか黄色とかピンクとかがあって、その子には似合ってた。
由香里も同じく合っていて、私は残された気分になった。
大体私みたいな子が由香里と並んでいたら、ダメなのかな?