キスして☆イケメンな彼
そうしてカラオケボックスから出ようとドアを開けたときだった。
「あたしも行っていい?」
後ろから声をかけてきた美咲。
断る理由はなかったが、
「いや、俺が入れてこようか?」
とわざと笑って手を差し出した。
そんなことで引き下がる美咲ではなかった。
「あ、いいよ。一緒に行こ?」
少し顔を傾げた感じに笑い、上目遣いで言った。
美咲の金色の髪が揺れる。
俺は少し視線をそらした。
そらした先には、
「…幸乃ちゃん」
俺は知らずに呼んでいた。
近くにいた美咲は驚いた顔をして見た。
慌てて俺は言葉に付け加えた。
「幸乃ちゃんのグラスも空だし」
幸乃の手元に置かれているグラスを見ていった。
そして続ける。
「俺、カルピスで同じだし注いでくるよ」
そう言って美咲の肩を過ぎる。
「あ、じゃあ私も行きます」
そう言った幸乃は立ち上がった。