キスして☆イケメンな彼
恋敵は強敵。 幸乃side
なんだかさっきから龍之介さまと目がよく合う。
気のせいかな…?
鼓動が高鳴る中、音が聞こえないか心配しながら曲を選択した。
周りの子はほとんど1曲ずつ歌ったらしく、今度は私の番みたいな雰囲気になった。
少し気になり、龍之介さまのほうをチラッと見た。
グラスを手にし、中の氷をカラカラ音を立てている。
もうそろそろドリンクバーに行くのかな…?
そう思った直後に龍之介さまは立ち上がった。
すると、それを見計らったように桜が丘の生徒美咲が立ち上がった。
「あれ、龍之介どこ行くの?」
ちょっとドクンときたのが、龍之介と呼び捨てされていたことだった。
龍之介さまはゆっくり振り返って
「カルピス、注ぎに行く」
と平然を装って言った。
この振り返った、優しく微笑む顔が恋しかった。
やっぱり好きなんだ。
龍之介さまが好きなんだ。
そんな甘い空想に紛れている間にも
現実は進んでいた。