キスして☆イケメンな彼
ガチャッと音が鳴ると同時に龍之介さまは、
「たっだいま~」
と陽気な声を出した。
そんな声を聞いて、安藤美咲はポカーンとした顔をした。
意外な一面…とでも言いたいのだろうか。
「おっ、おかえり~」
それにのった大島敦は右手を高くあげた。
「次、幸乃ちゃん歌いなよ」
マイクを差し出す赤堀純平。
なんだかさっきとは全然雰囲気が違う。
私たちがいない間に何があったの?
雰囲気が違うのが分かるのは、男子だけ…?
そんな気持ちを振り払って、私は
「じゃ、じゃあアレ歌います!」
まだ全く決めてもいないのに、マイクをもらって動揺しつつも
声を出した。
「アレじゃわかんないって」
「アレって言って分かるカンケーじゃないだろ」
と次々に声が漏れた。
「あっ、そうですよね」
私はちょっと俯き加減に照れながら言った。
歌いなれてるのがいいだろうと思って、
人気ソングをセレクトした。
人気男性グループだから、女子なら絶対知ってるはずだと思ったから。
選択した曲が流れると、女子が忽ち頬を染めた。
「あたし、この曲めっちゃ好き」
「だよね。カッコイイもん」
目の前にこんなにもカッコイイ男子がいるのに、
そんなこと言っちゃって大丈夫かな…。
なんか、余計なことしちゃったかな…。