キスして☆イケメンな彼
私が選んだ曲が流れ、女子たちが男子に見向きもしなくなってしまった。
私は一人では歌いづらいと言って、由香里と一緒に歌った。
他校の女子の子もタンバリンとか手拍子とか叩いて、盛り上がっていた。
正直なところ、女子だけは盛り上がっていた。
この曲が終わるまで、男子はコップから手を離さず
中のジュースがなくなりそうになるくらいに飲み続けていた。
気まずくならないように、私は男子と視線を合わせなかった。
多分、合わせなかったほうが気まずいんだろうけど
そうすることしかできなかった。
周りの女子はそんなことに気がつく様子も見せずに、
曲が終わった後も
「今度はコレにしようよ!」
「いいね、声もカッコイイし」
さっきの人気グループの曲をまた選ぼうとしていた。
私は慌てて止めに入ろうとした。
「あのさっ」
盛り上がってるのを邪魔するのは、なんだか心が痛む。
「やっぱりさっきと同じグループだし、他のにしない?」
少し自分の声が震えていた気がした。