キスして☆イケメンな彼
由香里はメールでは時間がかかるから、といい電話をし始めた。
全員男子への電話だった。
「あ、女子は他校の子だからメールね」
言い訳をするようにしていった。
カチカチとボタンを打ち始めた。
「ちょっと待ってて」
由香里はそう言って、携帯電話を耳に近づけた。
「あ、アツシ?」
繋がったと思われる電話の相手は...
多分2年の大島敦だろう。
噂で何度か聞いたことがある。
放課後必ず3人以上の人に告白されるとか。
「もう1人の子、決まったから」
少し低い男の子の声が漏れて聞こえる。
「え? あぁ、うん」
電話越しというのに、由香里は頷いた。
何話してるのかな...。
「決まったよ」だけじゃだめなの?
まあ、いいか。
「もちろん。可愛いよ」
えぇッ?!
何?!
何話していたの??!
私のことだとしたら...可愛いって。
「じゃ、よろしくね」
なんだか内容は曖昧だったけど、話は終わったみたいだった。
携帯電話を一度閉めた由香里の隙を見て、私は話しかけた。
「あの、どうだった?」
聞こえていた、なんてさすがにいえない。