キスして☆イケメンな彼


私は人見知りで、由香里以外の女の子と
話すのなんて久しぶりだった。

浅野恵が私の隣に座り、グラスを手に持つ。

少し沈黙になりそうで、
それが怖くて話を切り出した。


「あの…浅野さんは」


だがそれはすぐ彼女によって遮られた。


「恵って呼んでよ」

「えっ…」


目尻がきゅっと寄って微笑んだ彼女の顔は

モデル並みに、それ以上に

可愛かった。


「それに、敬語じゃなくていいよ?」


右手で髪を触りながら言う。

私はなんだか、彼女と並ぶのが

なんだか浮いているような気がしてならなかった。


「あ、うん。分かった」


私は慌てて、笑顔で返事した。


「それで、何?」


首を傾げた恵にジッと見られると、

女の私でも少し困る。


「えっと…」


沈黙をさけようとしていたのに、

自ら作ってしまうなんて最悪…。


私、話すのなんて得意じゃないのに……。



すると、


「ねぇー幸乃」


と救いの言葉が降ってきた。


「あっ」



由香里だった。


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