キスして☆イケメンな彼
俺の右斜め前の席に座る幸乃ちゃん。
隣に座っている背の高い…えーっと、
浅野恵ちゃん…、だよな。
2人の会話から、幸乃ちゃんはかなりの
聞き上手に見える。
きっと、話しかけたのが俺だったら
あの席に座っているのは
俺だったかな?
俺は、隣に美咲が座っている側で
そんなことを考えていた。
少しだけ気づいている美咲の視線を
俺は無視するようにグラスを手に持つ。
何もすることがない俺には、
ここ数分でグラスを何度持っただろうか?
腰を少し上げて、俺のほうにズレてきた美咲。
「…つまんないの」
と頬を膨らませた表情をした。
俺はそこまで無視するほど
腐ってない。
「ん?」
視線を美咲のほうに向ける。
美咲は少し俯き加減に言う。
「全然、かまってくれないんだもん…」
今にも泣きそうな声で言うから、
俺は少し戸惑った。
「あ、ごめんな?」
確かに、そうだよな。
隣に女がいるのに視線すら合わせないのは
かなり酷かったかな。