キスして☆イケメンな彼
少し照れながら龍之介さまを見て、
間奏を聴きながらリズムに乗った。
もう恥ずかしさなんてどうだっていいや。
恥ずかしい歌詞はハートだけじゃない。
スペードだって出てくるもの。
龍之介さまの声が聴ければそれで、
…いい……。
ピンク色のハート。
「『HAI。私の王子様。今日はどうしてくれるの?』」
青色のスペード。
「『UH。可愛い僕のお姫様。今日はどこから行きましょう?』」
あぁ、なんでこの曲選んだの…
恵ーッ!!
怒ってるわけじゃないよ?
むしろあり難いもん。
だってこの歌知らないもんね。
仕方ないよね。
心で小さなため息を吐いて、
口に出せないような台詞を歌っていく。
あぁ、そうだ。
このバンド、アニソンになるからって
ボーカル増やしたんだな…。
あ、変えたのかな…。
私は歌ってる間、誰とも視線を合わせないように
字幕をガン視してた。
チラッと見ると、ノリノリだけど
少し照れくさそうな龍之介さまの姿。
イケメンはなんでも似合っちゃうのね。
と脳内妄想を働かせている間に
歌はようやく終了。
…あぁ、
穴があったら入りたい。