小悪魔な君に天使のキスを

★沙夜side





メイは泣きながらも、一生懸命に話してくれた。

ぁたしなんかのために。

メイ、辛い思いさせて、ごめん。


だけどいつか、メイの過去が、“過去のこと”として気持ちの整理がつくまで、

何も聞かずに待っていたい。

ぁたしには、今はメイを抱き締めるくらいしかできないから。

人の温もりで、

メイのこぼした涙をぬぐうことしかできないから。


彼女の涙がこぼれないようにする術を、今は知らないから。


だから、

ぁたしは待ち続ける。

メイの痛みが消えるときまで―


―*―*―*―*―*―*―*―

―ジリリリリリリリ


どんなに切ない夜のあとだって、必ず朝はやってくる。

ぁたしは目覚まし時計を止めて

着替えて歯を磨いた。


そして学校の用意をカバンにつめて、

メイの部屋を訪ねようとドアを開けると


「ぉっはょーっ!!」


いつもの元気なメイだった。

少し目が腫れていたけれど

その笑顔は

何よりぁたしの心を安心させた。

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