小悪魔な君に天使のキスを

☆司side





俺はバカだ

と、つくづく思う。


そんなことを思わせるのは、この左手。

優の部屋の扉の取っ手を掴んだきり、回せないし、離せない。


『あんた男でしょ!』

青木メイの声が頭に響く。

『司、、ぁたし、メイのとこ行ってくる』

沙夜の悲しげな笑顔が脳裏を過ぎる。


大きく深呼吸をして、優の部屋を開けた。

「何?ノックもしないでどうしたの?」

何もかも分かっているように、優が振り向く。

「、、優」

「なんだよ?」

乱暴に足を組むのは…幼い頃からの優の癖。

優は、悔しい時や悲しい時、この癖をする。

なんで?

なんでだよ

なんで、今、足を組むんだよ、、、。


「優、おまえ、どういうつもり?」

「、、、」

黙る優に、俺は一歩一歩近付いた。

「なんで沙夜を傷付けるんだよ!青木だって傷付いてんだろ」

「司はいいよな。いつだって、お気楽で」


「ぁあ?」

気が付けば、俺は、優に殴りかかっていた。

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