冬のための夢
永遠なき出口

電話 守の場合

「うん、分かってるよ、分かってる。だから志望校は下げるよ」

守は携帯を叩きつけたい気持ちに襲われたが必死にこらえた。

4月の昼下がり。

母からの電話。

無理せず、田舎の専門学校にでも進学して、この街で働いて下さい、大方こんなところが本音なのであろう。

電話を無視してコンビニに入ればよかった。            
そして、ジャンプを立ち読みして、牛乳と食パンを買ってアパートに戻っていればどんなに幸せだったのに・・・。
      
守は目を閉じてみた。

そして、あの街の生活を想像してみた。

確に今よりは悪くないのかも知れない。


< 1 / 119 >

この作品をシェア

pagetop