冬のための夢
テレビでは、彼女はキスをしていた。

テレビを見ていたらまた喉が渇いてきた。

守は再び、牛乳を飲んだ。


彼女はまだキスをしていた。ドラマ主題歌のボリュームが
上がった。

守は画面に釘づけになりながら牛乳パックをテレビの前に
ある小さなテーブルへ置こうとした。

手元が狂い、牛乳パックをテーブルから落としてしまう。

床に敷いた絨毯に牛乳が染み込む。

慌ててテッシュで拭き取る守。
テッシュでは足りないので汚れたTシャツも絨毯にこすりつけた。

“堕ちたもんだ・・・”

情けなさで、ベッドに潜り込む。
このまま寝てしまおう・・・。目覚めれば深夜だ。

深夜になってから勉強しよう・・・。

そうして勉強などした事など、一回もない守だった。
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