冬のための夢
当然、不快だった。

でも、何故か声が出なかった。

『痴漢』にあったなら、大きな声を出し、その男の手を掴み挙げて警察に連れ出す!!。

頭にあった気持ちが、全く出てこなかった。

自分が出会した事がないパニック。

恐怖?なのか、雪子本人にも分からない。ただうつ向くしかなかった。

そんな雪子の気持ちを、男の手は微妙にかぎついたのだろうか?。段々、激しさを増してきた。

雪子は悔しかった。悲しかった。怖かった。憎かった。

いろんな感情が渦になって、雪子の頭の中にやって来た。

雪子は、こんな悪戯に対し、感情や知性をコントロールする事が出来なかった。

ただ、うつ向き、涙を堪えながらひたすら耐える雪子だった。
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