冬のための夢
もう、やめようか・・・。
                         
しかし、口から出た言葉は全く別のものだった。
           
「今年は絶対大学受かるって!。早稲田とか夢みたいなこと言わないからさ」

「お母さんは、わかっているわ。守は、やればできる子だって」
母は全くわかってなかった。

「ご飯ちゃんと食べてるの?」
「無駄使いしないでね」

守にとっては全てがウザかった。
しかし、仕送がなければこの生活が成り立たないのも事実だった。

自分もそうだが母にも“夢”を見てもらわなければいけないのだ。
お金?が続く限りには・・・。
守はある日突然、居なくなった父がいたらと思った。

でも今の自分が父がいることでより良い自分になっているとは思えなかった。本当にどうでもいい事なのだ。でも何故か父の事を思うと感情が高ぶった。

裏返りそうな声を抑え、冷静なふりをして声を出す守。


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