冬のための夢
「ちゃんと食べてるし、ちゃんと寝てるよ。
成績以外は問題ないから」

わざと笑い声を出して母に語りかける。
しかし、母はもっとしゃべりたいらしい。
きっと“寂しい”のだろう・・・。

「今度、米送ってあげる。自分でも自炊しなきゃ
 駄目よ!」
「今だから言うけど、お母さんはどこの大学だって
いいと思っているよ。だから無理せずに・・・」

しかし、守にとっての“無理せず”にの言葉こそが
一番頭にくる言葉だった。

何故なら、彼は無理などしていないからだ。
突然と頭に血が上りだす守。

「だから、第三でも第四でも下げるからさ、
ともかくさ、今年は絶対決着つけるからさ!!」

守は一方的に電話を切った。

「畜生!!」

商店街のド真ん中で声をはりあげた。

何人かは守の顔を覗き込もうとしたが止めた。

誰だって頭のおかしい人間とは関わりたくは
ないのだ。
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