冬のための夢

大学で

大学の授業の三限目も終り、雪子は一人で学食を食べていた。

三限目の授業はマスコミ論だった。

マスコミ論というだけで、4月は教室に学生はたくさん来ていたが、次第に少なくなり、今では数えられるくらいになっていた。もっとも、教授と呼ばれる人も、あの俳優とあの歌手がつき合っている、みたいな事しか言わない人間だった。でも、マスコミって所詮はそんなものなのかも知れない・・・。

新歓コンパの時期も過ぎキャンパスの中には幾分落ち着きを取り戻していた。          
雪子は、込み合う前に早く食事を済まそうと思った。だから、あまり人気のない学食へ来ていたのだ。人気の学食は、今頃、サークルの仲間の席取りで一杯になっているのだろう・・・。
         
今日はここでB定食を食べる。明日もここでA定食を食べるのだろう。
          
何にも起こらない日常、でも、本当にそれだけでいいの?
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