冬のための夢
今日の授業は英文法だった。

太った坊っちゃんカットの講師は熱弁を奮っている。

どうも現在完了進行形と言う物を話しているらしい。

しかし、守にとっては前方の講師よりも自分の一つ前に座っている男女が机の下で手をつないでいる事の方が重要だった。

忠士の言うように、バカは気楽なのかも知れない。
だったら楽しい事やった方が勝ち?

自分の前に座っている男女を見る。顔は黒板を向いているが、手をしっかりと握り合ったままだった。きっとこの二人は“寂しく”ないのだろう・・・。

守はぶつける場所がないエネルギーを悶々としながら溜めるしかなかった。
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