冬のための夢

追跡

忠士と別れてからは、散々な思いをした守だった。

結局、守の前に座っていた男女は突然二人立ち上がると、教室を出て行った。今頃何をしているのだろう?。

おかげで、ノートは全く取れなかった。もっとも取ったところで復習などした事はないのだが・・・。

ふてくされながら、電車を待っていると、前方のホームに守が気にとめていた女の子が立っていた。

最後にはいいこともあるもんだ・・・。

守は彼女を見つめながらそう思った。

彼女が電車に乗り込むまでの、2、3分、確りと見つめていよう・・・。そしていつか手をつなぐことを“夢”みていよう・・・。
 
しかし、守は彼女の異変に気づいた。

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