冬のための夢
女の子は、商店街の路地に入った。
そしてバッグから本を取り出した。

本を見つめる彼女。顔には薄く笑みが浮かんでいた。それはまるで、何かとても楽しかった事を思い出しているようでもあった。遠い昔の何か素敵な思い出とか・・・。

女の子は本を再びバックの中に戻した。

守は女の子に気づかれないように近づき、背後から手を彼女の肩を掴んだ。

振り返る女の子。彼女の顔から薄い笑みが消えた。
守は初めて彼女を間近で見た。
                   
きれいだ・・・。

守は心の底からそう思った。
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