冬のための夢
田舎での受験勉強を嫌った守は、東京での一人暮らしを決意させる。

東京の一流私大に合格して楽しい4年間を過ごす。
彼の田舎での高校3年間はそれだけしかなかった。
但し、その代償に勉強をする訳でもなかった。
単に東京での大学生活の憧れだけなのだ。

その裏には、田舎の暮らしや考え方、もしくは人間、
彼は全て毛嫌いしていた。逆に同級生たちも彼の
そんなところを嫌っていたのかもしれない。

しかし、浪人一年目の結果は無惨なものに終わった。

田舎とは全く違う生活のペース。そして本当の意味での
競争・・・。

大して名前が通っていない大学だって難しいのだ。
そんな現実を肌身に感じていた。

予備校で一緒だった仲間もみんな行ってしまった。
きっと新歓コンパにでも出て楽しくやっているので
あろう・・・。

“寂しい”?


だからこそ、四月のうららかな季節は死ぬ程嫌だった。
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