冬のための夢
「警察につきだす?、店の人に言う?、どっちでもいい、あなたの好きにして!」

雪子は逆ギレ気味に言った。

男は、何も答えなかった。

「なんとか言ったらどうなのよ!」

男は初めて口を開いた。

「俺、吉岡 守。二十歳の二浪の予備校生」

意外な言葉に、雪子は黙ってしまった。

再び話だす男。

「君の名前、何て言うの?」

「大きなお世話でしょう、一体あんた何様のつもりで喋ってるの!!」

雪子は声を荒げて言った。
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