冬のための夢
「ねぇ、今度の日曜日、俺と会ってくれない?」

「それ、強迫なの?」

「いや、ナンパさ」

「最低!」

雪子は心の底から言った。

「最低でもなきゃ二浪なんかやらないさ」

男は自嘲気味に笑って言った。しかし、その目には笑みは無かった。

これから私、どうなるの・・・

ただ・・・、

落ちていくんだ・・・。

でも雪子は、どこかで“落ちる事”も望んでいた。

雪子は心の中で、自分を下げすみ、守と名乗る男と一緒に笑っていた。

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