年下の彼氏
そう、子供にむきにならなくたっていい!

あたしは立派な立派な大人なんだから。



「も−いいや!はい!本。気をつけて歩くんだよ−!」

あたしはにっと笑って本を彼の胸の前に突き出した。

彼の目線がチクチクと当たるのがよく分かった。




彼は少しピクピク震えてから

「それはこっちの台詞だっ!」

予想外に大きな声が返ってきたので

びっくりした。




あたしは唖然としてた。

どう見てもただのシャイボーイ。

むきになったりするんだー。

「あ、そ−だ!あたしだったね!ごめん!あははは。」




大きな声を出したせいか、

それとも違う理由なのか、



悪ガキは少し赤くなり

鼻を手で隠すように覆い、

もう片方の手で本を受け取った。

そしてくるっとあたしに背中を向けると

猛スピードで走り去って行った。







あたしは口をあけたまま、

彼の後ろ姿を見つめていた。









ピコーン……。




そんな鈍い音があたしの頭の中に

響いた気がした。








気のせいかな………?



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