年下の彼氏
「気をつけてよ−。あたし殺されかけてるのかと思っちゃったよ−。」
にへへっと笑って目をやると
この前の悪ガキ少年だった。
「あ、あんた!この前の…。」
あたしはあんぐり開けた口のまま
悪ガキ少年を指差した。
ーお礼言っておきなよー。
ふと桃子の声が思い浮かんだ。
「この前はどうもありがとうっ!あんたのおかげで助かったよ−!」
「え、オレなんかやったっけ?」
顔を斜めに傾げる。
本を受け取りながらそういうと
菜月を見下ろした感じで
その瞳をこちらにむけた。
すこし茶色くて奥が深い二重の目。
そう、あの時は菜月がぶつかってきて
あげくのはて悪ガキが悪いとされたもの。
菜月は主語を言うのを忘れていたのだ。
「いいっていいって−。ありがとっ!」
悪ガキの手をしっかり握ると
それをぶんぶん振り回した。