年下の彼氏
あたし、
もしかしてすごく
アブナイ夢見てた?
どこまでがホント??
ここでバイトしてることは
現実だよね。今いるし。
あの悪ガキとぶつかった辺りから
夢だったりして…。
じゃなかったら
廊下で一人で白目向いてるわけないもんね!
もしあの悪ガキがいたら
誰かに助けを求めるはずだし?
そんなことを思いながら
本を並べたり、
子供のために読み聞かせをしに
1階まで行ったり。
今日のあたしは今までになく
働いたと思う。
本棚には新しい本もあるけれど
古い本もそれに負けずといっぱいあって
窓際の奥の本棚を掃除していた。
−あッ!
あたしはひとつの見覚えのある本を見つけた。
それは夢の中?で
あたしにぶつかってきた本だった。
−かすかだけど覚えてる。
縁が赤くて右の角が少しはげている。
これは、あたしが悪ガキのために
拾ってあげた本。
本をパラパラとめくると
意味のわからない数式が並んでいた。
最後のページの図書カード。
最新貸出者の記入欄には
"笹木孝之"と記されていた。