年下の彼氏
あたしは勝手に歩んでいく足を止まらせた。



「あっ…。」

声がふいに出てしまった。










そこには悪ガキがいた。









月の明かりは思ったよりも

明るくて、あたしたちを包んだ。


周りは、しんとしていて

少し肌寒い風が草木を震えさせている音が響き渡っている。





あの悪ガキは悪ガキじゃなかった。

周りが暗いせいか顔は凛として見えた。

夜の木の下は日陰はなく、

ただ深い緑色が続いている。



この茶色いマンションに住んでるのかな、

なんで図書館に来なくなったんだろ。

いったい何歳なんだろう。

中学3年だよね、たぶん。

どこの学校なんだろう。

どういう子なのかな。






そんな質問が頭の中をこだまする。

でも何も聞けなくて、

あたしは少し遠くでこっちを見ている悪ガキを見つめていた。



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