年下の彼氏
「オレ、笹木孝之。隣町の私立中学に通ってる。」
「あ、あたしは菜月、早川菜月。ここの近くの泉坂高校の2年。」
「そっか。」
自己紹介なんて入学式以来だ。
緊張する…。
ほのかに赤く染まっている菜月の頬は、
暗闇に隠されていた。
「笹木くんは、なんでここに?」
「孝之でいいよ。勉強の息抜きも必要だろ?」
た…孝之くんは大きく背伸びして息を吐いた。
そういえば市長の息子だって浜っちが言ってた。
厳しいのかな?
いい高校に行かなきゃいけないのかもね。
勉強大変なんだなあ−。
「じゃ、オレはこれで。息抜きおしまい!また図書館行くわ。早川さんも頑張れよ、バイト。」
「う、うん!またね!」
今日は長い夜になりそう。
孝之くんの背中は背伸びした子供みたいに幼くて、でも大人で…。
どんどん小さくなるその背中を見つめていた。